呼吸器外来
喘息・咳喘息
喘息とは気管支の慢性的なアレルギー性の炎症であり喘鳴と呼吸苦が特徴的です。
咳喘息はゼーゼー、ヒューヒューという音(喘鳴)を伴わず、激しい咳が症状の主体ですが、これも気管支の慢性炎症が主原因です。
以下の症状がある場合は気管支喘息や咳喘息の可能性があります。
- 風邪のあとに咳だけが長い期間残りやすい。
- 春先や初秋頃など、気候の変わり時に咳などの症状が出る。
- 咳が続いている。
- 発作的に咳や痰が出て息苦しくなる。
- 夜間や早朝に症状が出やすい。
- 小児喘息があった。
- アレルギー体質である。
- 40歳以上で喫煙者の場合は、COPDである可能性も疑われます。
治療
喘息は、息苦しくなる発作(急性増悪)が治まるだけでいいというものではありません。
発作(急性増悪)を繰り返すことで、将来気管支が細くなったまま広がりにくくなり、過敏にもなり重症化する可能性が高くなります。従って発作(急性増悪)を予防する治療が最も大切です。
吸入ステロイドを中心とした炎症を治める治療に重点を置き、気管支拡張薬や生物学的製剤(分子標的治療薬:抗IgE抗体、抗IL-5抗体、抗IL-5Rα抗体、抗IL-4Rα抗体、抗TLSP抗体)も必要に応じて導入させていただきます。また、病状によっては喘息日誌やピークフローによる自己管理をお勧めし、その指導をさせていただきます。
COPD
COPDとは
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、タバコの煙などに含まれる有害物質に長期間暴露されることにより肺が持続的な炎症を起こし、呼吸機能の低下などを起こします。原因のほとんどが喫煙であることから、生活習慣病の1つとして注目されています。以下の症状がある場合にはCOPDの可能性があります。
タバコを長年吸っている方で、
- 動くと息苦しい
- 咳や痰が続く
ただし、このような典型的な症状は、重症になるまで出現しないことが多く、逆にCOPDの症状が出てきた時には既に肺にかなりの障害を起こしていることを示しています。
COPDは肺炎や肺がんなど重篤な肺疾患を起こす危険性があるため、早期発見と早期治療が大切です。
治療
持続的な炎症により一度破壊されてしまった肺の細胞が元に戻ることはありません。しかし、早期発見、早期治療で症状を和らげたり、病気の進行を抑制することが可能です。
COPDの原因のほとんどは喫煙です。そのため喫煙習慣のある人は、まず禁煙する必要があります。禁煙によってCOPDの進行が遅くなり、寿命が延びることが明らかにされており、禁煙はCOPDの治療の中でも最も効果的な治療といわれています。
薬物治療では気管支を広げる効果のある吸入薬や炎症を抑える目的で吸入ステロイド薬を使用します。
重症度が高く低酸素血症が進行した患者に対しては、酸素吸入器を用いた在宅での酸素療法が必要な場合もあり、在宅酸素療法を行うことにより、寿命の延長とQOLの改善が得られます。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)
睡眠時無呼吸症候群とは
※院長の私自身この病気の患者で、CPAP治療を受けております。
※私が実施に使用したCPAPの治療器で一番良いと感じたものをご提案しております。
大きないびきとともに、睡眠中に何度も呼吸が止まる病気です。
医学的な定義では、10秒以上呼吸が止まる「無呼吸」や、呼吸が弱くなる「低呼吸」が、1時間あたり5回以上繰り返される状態をいいます。
睡眠中に無呼吸がおきると、体が低酸素状態となります。
睡眠中に何度も息が止まると眠りの質が悪くなり、日中の眠気やからだの怠さなどの症状を引き起こし、社会生活に影響を及ぼすことがあります。
また、血液中の酸素が欠乏することによって心臓、脳、血管に負担がかかり、脳卒中、狭心症、心筋梗塞などの重篤な合併症を来たす危険が高まります。
そのほか糖尿病、高血圧症などさまざまな持病への悪影響も報告されています。
日本における睡眠時無呼吸症候群患者は約500万人とされていますが、そのうち適切に治療を受けているのはせいぜい1割程度と言われています。
この病気は治療によって劇的に改善することが多く、周りの人にいびきや無呼吸を指摘されたら早めに受診することをおすすめします。
原因
睡眠中に呼吸ができなくなるのは、空気の通り道である気道が塞がってしまうからです。
肥満や小さい顎、舌の根元が落ち込む舌根沈下、飲酒、睡眠薬の使用などが挙げられます。
また鼻炎などによって鼻づまりがある方も無呼吸になりやすいと言われています。
小児の場合はアデノイド・扁桃が大きいせいで無呼吸を来すことがあります。
検査
まずは簡易型アプノモニターと呼ばれる装置で検査を行います。
この装置では、主に鼻や口での呼吸の状態と血液中の酸素濃度を測定します。
自宅への貸し出しが可能なため、スクリーニング検査として広く普及しています。
簡易アプノモニターで睡眠時無呼吸症候群を指摘された場合、原則は精密検査を行います。
主にポリソムノグラフィー(PSG)という検査が行われ、呼吸状態や血液中の酸素濃度に加えて脳波や筋電図なども測定し、無呼吸の状態や睡眠の質への影響を調べます。
PSGは通常入院で行われており、1泊程度の入院が必要です。
1時間あたりの無呼吸と低呼吸の平均回数を無呼吸・低呼吸指数(AHI)といいますが、アプノモニター、PSGではAHIを測定し、睡眠時無呼吸症候群の重症度を判定します。
また閉塞性・中枢性の鑑別も併せて行うことによって、それぞれの病状に応じた適切な治療方針を提示することができるようになります。
治療
睡眠時無呼吸症候群の治療は、重症度に応じて適切な治療法が選択されます。
軽症から中等症の場合には、主に「マウスピース」が用いられます。
睡眠中に装着することで、気道を確保します。
中等症から重症の場合は、主に「CPAP(経鼻的持続陽圧呼吸)療法」が行われます。こ
の治療の長期効果と安全性は十分な検証がなされ、現時点で主たる治療法となっています。
院長の私自身もCPAP治療を行っておりますので、今まで試した中から一番良いと思った機械をご提案しております。